thrakt's tech blog

コードとかやってる事の話。エモい話とかも含める。

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現

仮想通貨関連の知識がウィンクルボス兄弟が出資したぐらいから止まってたので、キャッチアップするために読む。あと、ブロックチェーン推進派の人たちが何を考えているのか知るため。

内容メモ

第1章

  • ブロックチェーンとは、公開分散台帳である。 組織の信頼によらず、信頼できる取引の記録が行える。
  • 既存の決済手段はクレカの仕組みに乗ってたりして、どうしても手数料がかかる。ブロックチェーンはコストが少ない。

第2章

  • 日本は既に内国為替がしっかりしているので、新しい決済手段は採用されづらい。(イノベーションのジレンマ的な話)
  • 仮想通貨は疑似匿名性を持っているが、追跡はできる。
  • 仮想通貨は公開台帳としての性質から、不正利用やマネロンに対して耐性がある。

第3章

  • 一部ネット銀行など取り組みを始めている段階。送金コストの引き下げを狙っている。
  • MUFGコインなど、現行通貨と価格固定制をとる物もある。
  • 価格固定制だと仮想通貨間で貿易収支のような赤字・黒字が発生し、それを相殺するコストが発生する。
  • プライベート・ブロックチェーン、コンソーシアム・ブロックチェーンはPoWを行わない。そのためトランザクションが早い。
  • プライベート・ブロックチェーンは単なる分散DBに近く、銀行や企業は"書き換える必要がないデータについての、安価なDB"とみなしているふしがある。
  • プライベート・ブロックチェーンは技術負債化する可能性がある
  • 中央銀行が自ら運営する仮想通貨を発行する流れもある。

第4章

第5章

第6章

  • 清算・決済にかかるコストは、ブロックチェーンで3割程度まで落とすことが出来る。
  • 既存の国際間送金は間に入る企業が多く、都度取引管理が発生するのでコストが掛かっている。
  • ブロックチェーンは公開台帳のため、個々に取引管理する必要がなくなる。その結果コストが下がる。
  • マイナス金利政策による利益圧迫が、銀行のブロックチェーン導入を後押しする。
  • ブロックチェーンを用いた仮想通貨の主役が誰になるか、想定される3つのシナリオ。

  • ビットコインのような中央管理なし

  • 銀行が運営するコイン
  • 中央銀行が発行する暗号通貨

諸問題

  1. 仮想通貨間の取引は課税できない
  2. マネロンに弱い
  3. 経済活動をコントロールできない
  4. キャピタルフライト

  5. 中央銀行が発行する暗号通貨によって、ビッグ・ブラザーは顕現するッ!!!

第7章

第8章

  • IoTへの活用。 P2Pで各機器にあらかじめ情報を伝達し、自立動作させる。

第9章, 第10章

  • 分散自立組織(DAO)や予測市場への活用の話。
  • 分散自立組織は、スマートコントラクトでバイトのシフトを自動生成しようみたいな話という理解。

最終章

  • プライベート・ブロックチェーンは管理者が存在し、支配者の道具になる。思想的に相容れない。が、オープンな仕組みの方が強いからそちらが勝つだろう。
  • ブロックチェーンの公開分散台帳という性質は、法廷や政治を人々の手に取り戻す手助けとなるだろう。

感想

まず、自分はブロックチェーン懐疑派なのでどうしても穿った見方になってしまう。ブロックチェーンってあれでしょ? ゴシッププロトコルの親戚みたいなやつ。分散DBでよくね? みたいな。案外そういう感じの立ち位置の方が楽しめる本なのかなと思う。他人の視点を知れるのは面白い。実際どういうメリットがあるのかを説明してもらい、色々思いつつ読んでいた。

ブロックチェーンのメリットとして、主に二つのものが挙げられている。これらが混ざっているように感じる。

  • 公開台帳の性質。全体で合意する仕組みがあるため安全で信頼性が高い。
  • 分散台帳の性質。分散系でトランザクションの最終整合性が保たれる事。

前者は、オープンなブロックチェーン前提であるように思う。PoWなくても改ざんされていない事は担保できるのかよくわからない。後者については、やはり他の分散DBの方が考え方として単純なのでは?と思ってしまう。

また、仮に内容が公開されていたとしても、それが正しいかどうか普通の人が判断することは難しいのではないかと思う。公開している人を信頼できるのかという、別の問題が発生することになるのではないだろうか? これに限らず、全般的に人々が正しく合理的に動くことを想定しているように見受けられるのが気になった。ブロックチェーンや仮想通貨が広がったからといって、人々の行動様式が簡単に変わるということはないように思う。いまだに定期預金を買う人が多い……。


色々面白いところも知れてよかった。世界でやられて行っている取り組みなど。公的な文章の管理をブロックチェーンで記録しようという試みなんかは、まさに今の日本のグダグダの状況を見ているとかなり面白く思う。

他にも、中央銀行が発行する暗号通貨という観点はかなり面白かった。中央銀行の紐付き通貨という感じ。中央銀行がお金の流れを全て把握できるので、税金の計算も一瞬で終わる。我々はついに、確定申告の苦痛から解放されるのだ。徴税の革命や!!! マイナンバーでやろうとした事を、さらに踏み込んで厳密にできる。 悪用されると最悪というのはそうなんだけど、すでにクレヒスとかで似たような事はやってるという現実。メリットを考えると結構悪くない選択肢ないんじゃないかと思えてしまう。

あと、ゲゼルのマネーとかちょう面白かった。一定期間で価値が減っていくお金。インフレと同じじゃないかっていう感じもあるけど。世の中色々考える人がいて、面白くていいですね。


読んでいく中で、 ブロックチェーンの活用を考えている人たちは、別の利点を見出しているようにも見られた。それは以下の二つ。

  • ブロックチェーンと言う共通規格の元、通信のフォーマットを統一できる。
  • データやロジック(スマートコントラクト)を適宜ノードに反映させることができる。デプロイの仕組みがある。

共通規格化については、まあうまくいったらいいですねという感じ……。いいんじゃないかと思います。

デプロイについては、特にIoTへの活用やDAO、予測市場への応用などで大きく影響していると感じたもの。ただ、中央で管理できないことについては、モニタリングが大変という問題があるように思う。IoT なんかだと、計算量や同期に必要な通信量も大きいんじゃないだろうか。どちらかというと、CDNとかで解決されていく話なのではないかと思う。


他雑感

  • SSL高いって何回言うねん。EV-SSLとかならわかるが、それでもブロックチェーンに対応して組み替えるほうがコスト高いのでは???
  • 大衆がカウンターパートの信頼性を気にして買い物をしているかというと、結構疑問に思う。
  • PGPって何で流行らなかったんでしょう?
  • 金融機関の融資・購買力に関する記述がちょっと気になったが、あまり突っ込めない。一般預金がマイナス金利になったら、住宅ローンとかえらいことになってウハウハでは? とか色々感じることはあった。
  • 暗号通貨が中央銀行の金融政策から自由であることは、必ずしもプラスに働くとは限らないと思う。ユーロは自国で経済政策を決定できないため苦労していると聞く。富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる。
  • 仮想通貨がマネロンに弱いってのと決済コストが下がるっての矛盾してない? 仮想通貨が広がれば、それに対するモニタリングの仕組みなどは当然必要になってくると思う。

まあ色々ヤジを飛ばしながら読んでたので無駄に時間かかったけど、なかなか面白かったです。